一級建築士事務所

新明設計

INTERACTIVE CONCEPT

 「形に見えないもの」への対価
設計とは、そもそも「無の状態から有を生み出す」という行為であり、私達は「形に見えないもの」を売っているとも言えます。
今の生活の中で、「もの」に金銭を払う習慣が身についている消費者にとって、「形に見えないもの」に金銭を払うことは確かに
理解し難いことかもしれません。

また一般的には、建物を何度も建てる人は少なく、初めてが故に設計料が意味する概念や相場がわからないのは当然のことだと思います。また、わからないが故に建築家と一般の人が想定する設計料の間に格差が生じることもよくあると言えます。
では、設計とは一体何なのか?具体的にはどのような内容なのか?といった疑問については、設計の流れを御参照ください。

 建築家に依頼するとは?
設計と施工を一貫で行う会社では「設計料は無料」という、建て主にとっては魅力的な殺し文句を謳うところがあります。
しかし、建築は設計図や確認申請図といったものがなければ建てられません。設計行為をしているのに設計料を取らないというのはその費用がどこか別の工事費に含まれているのか、あるいは設計に対して全く責任を取らないのだと考えるべきです。
この点は、欠陥住宅が多く造られ、社会問題まで発展している現在では慎重になるべき問題だと思います。

その点で、施工の段階で設計図通り(クライアントの要求通り)に施工されるよう監理する、第3者的立場=設計者(建築家)の
存在は大きな安心に繋がります。

こういった意味では、設計料とは「安心」や「安全」という、目に「見えないもの」をも含めて買っていると言えるのではないでしょうか。私たちも常に誠実であり続けることを肝に銘じて、信頼を頂ける仕事をし続けて行きたいと思っております。

 設計料の算出方法について

設計料の算出方法には、「料率方式」「積み上げ方式」による2つの方法があります。

「料率方式」
とは、工事費の何%というように、総工事費に対して工事種別や建物用途に応じて比率を乗じる方法です。
この算出法は簡単で、現在でも設計事務所は、この料率方式で設計料を算出しているところが多く、長い慣例 に裏打ちされた業界の相場が形成されています。
しかしながら例えば、全く同じ構造の同じ設計図を描いた場合でも、材料の安い仕上げを選択した場合と高い仕上げを選択した場合とでは総額が異なるため、図面を描く手間は同じでありながら総額が違うために設計料も異なるといった現象が起こります。

「積み上げ方式」とは、下記の項目に分けて算出し、すべてを合算の上、消費税・地方税を加えることになっています。
 1)業務経費 =直接人件費+特別経費+直接経費+間接経費
 2)技術料等経費
「積み上げ方式」では設計行為を定型的な作業と評価する業務経費と、技術力や創造力などの非定型の価値を評価する技術料等経費とに分けることで、料率方式での曖昧さを解消しています。
根拠が解る分、建て主も納得しやすくなりますが、設計者が時間をかければかける程、設計料が上がることになります。例えば2、3回の打合せで契約に到るケースもあれば、10回しても決まらないこともあります。これは、納得できる案を提案できるかどうかについて、設計者サイドに要因があるにも関わらず、設計料が高くなるという現象が生じます。以上の理由で、「積み上げ方式」にも一長一短があると言われています。

 信頼を買えるパートナーを
設計事務所と交わす設計監理業務契約は、基本構想か基本設計の終了時に行うことが大半です。契約を交わした時点で設計料が発生してきます。
建築家はそれまでに魅力的な計画・創案を創り上げ、クライアントとの打合せの中でお互いが理解し合い、信頼関係を築いて行くことが不可欠だと考えます。
設計料とは建て主の建築家に対する「信頼の代価」でもあり、私たち建築家もまた、その信頼に応えることが大切だと考えます。

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設計料について